和雪庵の名は、禅語「梅花和雪香(ばいか ゆきにわして かんばし)」に由来します。
厳しい冬を乗り越えてこそ、気高く香り立つ梅花。
春を目前にした残雪から、ふと梅の香りが漂ってくるような、静かで美しい光景が名に込められています。
和雪庵は、北陸の厳しい冬を越した春のひとときに、心安らぐ茶の香りを楽しむ場所でありたいと願っています。
この名の精神を胸に、茶の湯を通じて、ご自身と深く向き合うための時間と空間を提供します。
和雪庵の由来 ― 梅花和雪香
白雪に咲く、一枝の梅花
この禅語が描くのは、一面の白雪の中に一枝の梅が凛として咲いている情景です。 雪の白と梅の紅が互いを引き立てあい、親しみ和する。
そして、あたりには「馥郁たる香り」が漂っている。
「馥郁」とは、思わず心が惹きつけられるような、繊細で美しい香りを意味します。
忍苦の先にある、凛とした美しさ
梅はどの花よりも早く冬の空に花を開き、清らかな香りを届けます。
しかしそこに至るまでには、厳しい寒さに耐え、冷たい雪や霜を被り、幾多の試練を乗り越えなければなりません。
その「忍苦」あってこそ、他にない凛とした花の美しさと、馥郁たる香りが生まれるのです。
自ずと、それぞれの花が開く
この梅花の姿は、私たち人間の生き方にもそのまま当てはまると考えています。
人生における幾多の困難にも、目を背けずに耐え忍び、自身の信念を貫き精進を続ければ、人とは違う、自分だけの花が自ずと開くのではないでしょうか。

茶室 ― 時を重ねた、非日常空間
私たちが稽古を行うのは、先代の表千家教授者から受け継いだ、由緒ある明治建築の茶室です。 聚楽壁や拭き漆の柱、意匠を凝らした七宝焼の引手など、随所に職人の息遣いが感じられます。明治の建築ならではの規格外の寸法がもたらす独特の空間感覚、そして大正時代の照明が灯る時、ここは日常から切り離された特別な場所となります。
この空間自体が、茶の湯の体験をより深いものにしてくれます。

庵主紹介と、私たちの想い
この由緒ある空間で皆様をお迎えするのが、庵主・伊藤宗㵎です。
三十年以上の経験と茶書研究で培った深い知識を基に、茶の湯の本質をお伝えします。
和雪庵目指すのは、単なる作法の習得ではありません。
茶の湯を通して、皆様がご自身の新たな魅力や可能性に気づき、日々の暮らしをより豊かにするためのお手伝いをすることです。
和雪庵理念
和雪庵は、先人の知恵が息づく明治建築の「残り香」に、現代における「中庸」の美を重ね続ける生きた空間です。
茶の湯を禅の「吾唯足知」の精神を探求する道と捉え、自らの審美眼を鍛え、自分と、そして相手と深く向き合う静かな「鏡」と考えます。
この失われゆく日本の「主客一体」の精神と空間が宿す気配を、次代へと確かに受け継ぐことを使命としています。